県全体として【住宅地の平均変動率】が+1.1%(昨年は+0.5%)と3年連続のプラス。【商業地の平均変動率】は+2.7%(昨年は+1.1%)、【工業地の平均変動率】は+0.8%(昨年は±0%)と24年ぶりにプラスに転じました。

 平成29年地価公示(平成29年1月1日時点の価格)結果が発表されました。
 福岡県平均では住宅地が3年連続のプラス、商業地は2年連続のプラス、工業地が横ばいから24年ぶりにプラスに転じました。

【住宅地】
 ①福岡市の住宅地は低金利を背景に、ローン減税や住まい給付金、フラット35が手当てされているため戸建住宅やマンションの需要は堅調であった。
福岡市住宅地の平均変動率▲0.9%(24年)→+0.7%(25年)→+1.8%(26年)→+2.2%(27年)→+2.8%(28年)→+3.5%(29年)で5年連続の上昇です。
 ②北九州市の住宅地は長期下落で推移している中、下げ止まり・底打ち感が見られ、下落幅は縮小傾向です。
北九州市住宅地の平均変動率▲2.6%(24年)→▲2.2%(25年)→▲1.6%(26年)→▲1.2%(27年)→▲0.9%(28年)→▲0.5%(29年)でした。 継続地点140Pのうち29Pが上昇しました。
 ③久留米市の住宅地は、旧久留米市を中心にマンション及び戸建て住宅の売れ行きは比較的堅調。旧郡部や郊外においては割高感が残っており未だ下落傾向が続いています。
久留米市住宅地平均変動率▲2.1%(24年)→▲1.5%(25年)→±0.0%(26年)→+0.2%(27年)→+0.3%(28年)→+0.3%(29年)で、3年連続の上昇でした。
 ④福岡都市圏の住宅地
  筑紫野市[+1.1%(28年)→+1.2%(29年)]
  大野城市[+1.8%(28年)→+3.5%(29年)]
  春日市 [+1.9%(28年)→+4.1%(29年)]
  太宰府市[+0.5%(28年)→+1.4%(29年)]
  那珂川町[+0.7%(28年)→+1.3%(29年)]
  新宮町 [+2.7%(28年)→+4.0%(29年)]
  古賀市 [+0.3%(28年)→+0.9%(29年)]
  福津市 [+0.7%(28年)→+0.9%(29年)]
  粕屋町 [+1.1%(28年)→+2.5%(29年)]
  志免町 [+0.6%(28年)→+2.5%(29年)]
  須惠町 [▲0.3%(28年)→+2.1%(29年)]
  宇美町 [+0.0%(28年)→+1.2%(29年)]
  久山町 [▲0.7%(28年)→+0.4%(29年)]
  篠栗町 [+0.1%(28年)→+1.2%(29年)]
  糸島市 [+0.3%(28年)→+0.7%(29年)]
福岡都市圏の住宅地は、福岡市のベッドタウンとして需要は多く、地価は底堅く推移しています。また中古住宅の取引も活発です。

・その他主要都市の住宅地
  大牟田市[▲2.2%(28年)→▲1.8%(29年)]
  飯塚市 [▲1.9%(28年)→▲1.2%(29年)]
  直方市 [▲2.1%(28年)→▲1.3%(29年)]
  田川市 [▲2.7%(28年)→▲2.5%(29年)]
  中間市 [▲1.0%(28年)→▲0.6%(29年)]
  柳川市 [▲1.5%(28年)→▲1.2%(29年)]
  八女市 [▲3.9%(28年)→▲2.8%(29年)]
  大川市 [▲2.3%(28年)→▲1.7%(29年)]
  筑後市 [+0.8%(28年)→+1.1%(29年)]
  小郡市 [▲0.2%(28年)→+1.3%(29年)]
  行橋市 [▲0.1%(28年)→+0.0%(29年)]
  宗像市 [▲0.5%(28年)→▲0.2%(29年)]
  朝倉市 [▲0.5%(28年)→▲0.1%(29年)]でした。
筑後市は4年連続で上昇、他の都市も上昇または縮小傾向でした。

【商業地】
 ①福岡市の商業地は、博多駅と天神界隈の両都心部を中心に、上昇の範囲及び上昇幅が拡大中です。KITTE博多の開業(丸井入居)とJRJPビル(JR九州主体のオフィスビル)の完成開業や地下鉄七隈線の博多駅への延伸計画とも相俟って博多駅前地区の将来に対する期待感があり引き続き上昇、特にホテル需要は特に旺盛であった。天神地区では、インバウンド需要に陰りがみられるものの、天神ビッグバンへの期待及びオフィス需要の増大、空室率の低下等や新規店舗の出店が続くなど、店舗集積度は高まっており、天神地区への一極集中が続いています。収益物件や事業用不動産が高価格で取引されるなど一等地は昨年に引き続き強い動きを示しています。
 またJリートが取得を活発化させ、外資も含めて需要は旺盛です。しかし昨年までは売り物件が枯渇気味で、物件取得が困難な状況が看取されます。但し、今年に入り少しずつ売り物件は増えつつあるようです。
 福岡市商業地の平均変動率▲1.6%(24年)→+0.7%(25年)→+2.9%(26年)→+3.8%(27年)→+5.9%(28年)→+8.5%(29年)で5年続けての上昇で、上昇幅は拡大しました。
 ②北九州市は、24年ぶりに上昇に反転しました。
北九州市商業地の平均変動率は▲4.1%(23年)→▲3.4%(24年)→▲2.8%(25年)→▲2.2%(26年)→▲1.5%(27年)→▲1.0%(28年)→+0.4%(29年)でした。
 ③久留米市は▲6.0%(23年)→▲3.5%(24年)→▲1.8%(25年)→▲0.5%(26年)→+0.1%(27年)→+0.5%(28年)→+0.9%(29年)と3年連続の微上昇でした。
 要因としてはJR及び西鉄久留米駅徒歩10分圏内のマンション素地の需要の増大や再開発事業の進展に対する期待を受けプラス傾向が続いています。


④福岡都市圏の商業地
  筑紫野市[+1.0%(28年)→+0.8%(29年)]
  大野城市[+2.7%(28年)→+7.2%(29年)]
  春日市 [+2.4%(28年)→+7.8%(29年)]
  太宰府市[+3.4%(28年)→+4.8%(29年)]
  古賀市 [+0.6%(28年)→+1.0%(29年)]
  福津市 [+0.0%(28年)→+0.0%(29年)]
  粕屋町 [+2.4%(28年)→+3.5%(29年)]
  志免町 [+0.0%(28年)→+1.4%(29年)]
  宇美町 [+0.0%(28年)→+0.4%(29年)]
  篠栗町 [▲0.3%(28年)→+1.5%(29年)]
  糸島市 [▲2.3%(28年)→▲0.3%(29年)]

・その他主要都市の商業地
  大牟田市[▲2.9%(28年)→▲2.5%(29年)]
  飯塚市 [▲3.2%(28年)→▲2.4%(29年)]
  直方市 [▲4.0%(28年)→▲2.9%(29年)]
  田川市 [▲3.8%(28年)→▲3.6%(29年)]
  中間市 [▲2.6%(28年)→▲2.5%(29年)]
  柳川市 [▲3.1%(28年)→▲2.2%(29年)]
  八女市 [▲2.8%(28年)→▲2.3%(29年)]
  大川市 [▲4.8%(28年)→▲3.3%(29年)]
  筑後市 [▲1.2%(28年)→▲0.9%(29年)]
  小郡市 [▲4.3%(28年)→▲2.8%(29年)]
  行橋市 [+0.0%(28年)→+0.4%(29年)]
  宗像市 [▲0.3%(28年)→+0.0%(29年)]
  朝倉市 [▲2.5%(28年)→▲1.3%(29年)]

【工業地】
工業地は、県全体で+0.0%(28年)→+0.8%(29年)と24年ぶりにプラスとなりました。
 ①福岡市[+2.4%(28年)→+3.6%(29年)]
Jリートとへの組み込み、物流用地の需要増大、地下鉄駅近接工業地の需要増大。
 ②北九州市[▲1.2%(28年)→▲0.7%(29年)]
円安傾向を受けて自動車産業は堅調。下げ止まり傾向にあります。
 ③久留米市[▲0.8%(28年)→▲0.3%(29年)]需要は依然として弱含みです。
 ④大牟田市[▲1.4%(28年)→▲1.0%(29年)]需要は依然として弱含みです。
 ⑤京都郡苅田町[+0.0%(28年)→+0.8%(29年)]
自動車産業が好調で需要も顕著言うに推移、上昇基調に転じています。

*地価公示結果による最高価格地(県全体)
 住宅地:福岡中央2  :大濠1丁目:650,000円/㎡(+7.4%)
 商業地:福岡中央5-9:天神1丁目:7,850,000円/㎡(+12.5%)

*地価公示結果による上昇率1位
 住宅地:福岡中央-5:六本松4丁目 :288,000円/㎡(+9.9%)
 商業地:博多5-6:博多駅前2丁目:2,170,000円/㎡(+26.2%)

株式会社第一鑑定リサーチ 不動産鑑定士 吉田稔