住宅地・商業地・工業地の平均変動率は共に下落率が縮小しました。特筆すべきは福岡市の都心部で4地点地価が上昇しました。
 県全体としては全用途で下落しました。住宅地は14年連続の下落で、商業地は4年連続の下落でした。

 用途別に見た平均変動率は、県平均で住宅地が▲2.9%→▲2.7%、商業地が▲4.9%→▲4.1%、工業地が▲4.3%→▲3.8%、全用途平均が▲3.5%→▲3.1%でした。ほぼ全用途で下落率は縮小しました。

 東日本大震災の影響で、一時的に経済が停滞していましたが、それまでの景気回復の傾向や九州新幹線の全線開業及びJR博多シティビルの良好な集客力、木の葉モールやキャナルシティ博多イーストビルの開業、天神2丁目のNTT敷地跡に「アーバンネット天神ビル」の開業など福岡都心部の開発が目白押しであったことが下落率縮小の大きな要因としてあげられます。また、天神西通りには平成24年春にラインビル跡地にH&Mとフォーエバー21が出店予定です。かかる諸要因より博多駅前地区で3ポイント、天神西通りで1ポイント地価が上昇しました。

 また住宅地では九大六本松跡地再開発計画が決定したことより背後の住宅地が1ポイント地価上昇しています。その他、百道浜、西新、藤崎、高取地区等の高級住宅地やマンション用地は横ばい地点が多く、東日本大震災の影響がなければ地価は上がっていたと考えられます。8月以降も土地取引は堅調で、地価の底堅さを伺わせます。一棟の賃貸マンションなどは品薄で、キャップレートは低下傾向にあります。個人投資家の投資意欲は低金利と福岡のポテンシャルの高さから活発であり、最近は商業ビルの購入も見受けられます。また購入する場合は複数棟の買いが見受けられます。オフィスビルの空室率は13~14%程度ですが、徐々に改善されてきており需要も回復基調です。

地価が上昇した天神西通り付近
岩田屋、ソラリア西鉄ホテル方面
早良区百道浜付近

主な都市の住宅地と商業地のH22とH23の平均変動率は次の通りです。
福岡市 :住宅地▲2.3%→▲1.7%、商業地:▲6.2%→▲2.9%
北九州市:住宅地▲3.2%→▲3.0%、商業地:▲4.6%→▲4.4%
久留米市:住宅地▲3.9%→▲3.5%、商業地:▲7.2%→▲6.3%
大牟田市:住宅地▲4.2%→▲3.8%、商業地:▲5.1%→▲4.6%
飯塚市 :住宅地▲3.3%→▲3.3%、商業地:▲5.2%→▲5.3%
柳川市 :住宅地▲4.3%→▲3.2%、商業地:▲6.8%→▲5.6%
行橋市 :住宅地▲2.4%→▲2.3%、商業地:▲4.4%→▲4.5%
宗像市 :住宅地▲3.0%→▲3.2%、商業地:▲3.0%→▲3.3%
朝倉市 :住宅地▲4.8%→▲4.4%、商業地:▲7.4%→▲6.7%
春日市 :住宅地▲1.3%→▲1.1%、商業地:▲1.2%→▲1.3%

県内の最高価格地:住宅地:福岡早良-3   早良区百道浜4丁目     255,000円/㎡ ±0%
             :商業地:福岡中央5-15  中央区天神1丁目     3,350,000円/㎡ ±0%

県内の地価上昇地点5ポイント
  住宅地:福岡中央-3  中央区六本松4丁目    210,000円/㎡ +0.5%
  商業地:福岡博多5-1  博多区博多駅東1丁目  1,780,000円/㎡   +4.7%
  商業地:福岡博多5-3   中央区天神2丁目     3,050,000円/㎡. +3.4%
  商業地:福岡博多5-5   博多区博多駅前3丁目   612,000円/㎡ +2.9%
  商業地:福岡博多5-13 博多区博多駅東3丁目   359,000円/㎡ +2.6%

*今後も都心部一等地及び住宅地の一等地を中心にして根強い需要に支えられ、地価は堅調に移していくものと予測します。(但し、ユーロ圏発の金融不安のリスクあり)